DAOとは?自律分散組織の広がりと現実での実用例を紹介

DAO(Decentralized Autonomous Organization=自律分散組織)という言葉が記事になったり、話題になったりすることが増えてきています。 

この記事ではDAOについての説明をした上で、具体例を紹介し、今後どうなっていくのかということを説明します。


DAOとは?

「自律分散組織」と言われても、捉えづらく感じられるかもしれません。

端的に言えば、「会社組織や国家など特定の中央集権的な管理者のいる組織」とは異なり、「参加者全員に対して”スマートコントラクト”などを通じてアルゴリズムなどの共通のルールを当てはめて、そのルールによって自律的に管理される組織」がDAOです。

ブロックチェーンの文脈で、かつてから言われている「Code is Law」のように、誰か特定の人間に管理されるというよりは、ルールを参加者みんなで決め(投票して決めたり、フォークして変えていったりと決め方はいろいろ)、それによって組織が自律的に構成、進化していく組織のことをいいます。


なぜDAOが注目され始めているのか?

DAOが注目されているのは、大きく3つ要因があると考えられます。

1つ目はより「個人」の時代になる中で、前時代的な支配ー被支配の関係性に疑問符がなげられるようになり、これまでとは異なる形の組織が志向されるようになったことです。

2つ目は、仕組みの革命として「ブロックチェーン+トークン」の登場によって、具体的な「契約」(雇用契約や株主契約など)を結ぶことなしに、トークンを使うことで組織をガバナンスしたり、組織へのコミットメントを可視化できるようになってきたことがあります。

3つ目は、これが一番大きいかもしれませんが、DAOと密接な関係を持っている「ガバナンストークン」が2020年の夏頃からの「DeFi Summer」により、とても大きな時価総額がつけたこと、それに伴いDAOがどの企業体よりも高速で進化している背景があります。

例えばガバナンストークン「UNI」の発行元であるUniswapは、設立からまだ3年程度しかたっていませんが、”1兆4000億”円の時価総額があり、プロトコルの収益(利用手数料)は5-10億円/1日と年間”3000”億円程度の収益を生むに至っています。

この成長速度は驚異的であり、注目が集まる背景になっています。


重要な概念ーガバナンストークンと投票

Uniswapの例で触れましたが、DAOを成立させる上でとても大事な概念となってきている、「ガバナンストークン」と「投票(Voting)」についてこのセクションでは説明します。

ガバナンストークンというのは、「Code is Law」だけだと対応できない「オンチェーンの手数料収益の使いみち」や「レンディングプロトコルであれば、担保率や新しい担保の追加」といったそれぞれのプロトコルが決めなければならないことを決めるための権利を表現するトークンとして、株式会社の株のように配布されているトークンになります。

配布方法は様々ですが、投資家に配布したり、利用者に配布したり、大抵のケースではそのプロトコルにとって良いことをした人に対して配布される事が多いです。

※LPをする、レンディングをする、オプションを売るなどなど

「投票」は、株主総会における投票と概念は同じです。
プロトコルにとって決めなければならないことについて、ガバナンストークンの持ち分に応じて自らの選択を投票し、投票結果に応じてプロトコルが変化していきます。

次のセクションでは具体的にどのようなプロトコルにおいてどのように投票が行われているかを説明します。


各DAOにおける投票例

Uniswap

まず最初はDAO/DeFiの代名詞とも言える、Uniswapの投票例をご紹介します。

Uniswapのガバナンストークンは「Uni」という形で発行されており、LPをしてくれていた人、過去に利用した人に配布されています。

UniswapのVoteページ

こちらは実際に承認された投票結果ですが、大多数が賛成して可決されています。

投票内容としてはUniswapに関わる改善やハッカソンなどに対して委員会を設立し、都度、Grant(支援金/給付金)を出すことを容易にしたいというものでした。

DAOが持っているお金すべてを一々投票していると速度感が失われるので、このように一部移譲されるといったことも発生します。

Compound

続いて、DeFi/レンディングの代名詞とも言える、Compoundの投票をご紹介します。

なお、Compoundのガバナンストークンは「Comp」という形で発行されており、金利プロトコルだけあって、プロトコルを通じてより金利を「稼いだ/払った」人にCompを配布しています。

多数の投票がされていますが、代表的なものと面白いものを紹介します。

VotePageのリンク

代表的なものは担保率の設定に関する投票です。

レンディングプロトコルにとって、「何を担保として良いか、そして担保率をどの程度おくか」ということは、利用者にとって最も重要と言っても過言はありません。

今回のケースではwBTCの担保額(CF)を40%に設定してよいか?という投票が行われていることを指しています。

このケースの場合、非常に僅差でしたが、規定の投票量を超えたので可決されました。

今では当たり前にwBTCを使ってcompoundなどの運用がされていると思いますが、始まったばかりのときはこれだけ反対されていた(wBTCがそもそもカストディされているもので信用できないなどといった意見が見られました)と思うと興味深いですね。

また、まだ投票まではいたっていませんが、非常に面白いトピックも議論されています。

投票に至る前にDAO内で議論をし、ある程度疑問点などが解消されてから投票に移りますが、「この過去訴求してCOMPを配布するべきか」という議題については、どう配るやいくら配る・そもそも配るのが適切か?などかれこれ10ヶ月以上議論されています。(累計20万ユーザーに閲覧されているトピックです)

今までであれば、当然のように経営者や企画者が決めていたと思いますが、それを利用者やCompoundを今後も支えたいと思っている人が主導で議論がされているのは非常に興味深いです。

SushiSwap

次はSushiswapです。

最初は色物のような扱いを受けていましたが、近頃ではUniswapに次ぐ、圧倒的な手数料報酬を稼ぎ出すなど非常に発展を見せています。

ガバナンストークンはSushi。これもLPやステーキングした利用者に配布されています。

投票としては、直近のものがおもしろいのでそれを紹介します。

■Sushiの投票例

この投票ではSushiswapのSolanaブロックチェーンへの展開が提案されました。

事実上、Ethereumの外への展開ですから、「Code is Law」という部分はほとんどないのですが、提案が可決され、Solanaで将来的にSushiSwapは展開されていくことが可決されました。

MultiChain対応の方向性がきれいにでてきて、Uniswapとは異なる趣がでてきたあたり、DAOが生き物のようだなと感じる一例になっています。

提案フォーラム


たくさんのプロトコルの投票が見れるSnapshot

ここまでいろいろな例を述べてきましたが、更に興味を持った場合は、たくさんのプロトコルのガバナンスを見ることができる「Snapshot」というサイトを見てみると良いでしょう。

とてもたくさんのDAOが現状存在しており色々な投票がされていることがわかると思います。(わかりやすい例だと、開発者の給料を上げてよいか?などもされています)ぜひ眺めてみてくださいね。

Snapshot

DAOは今後どうなっていくのか?

上述したようにDAOは出資者だけでなく、運営者、利用者すべてがそのプロトコルが成功すると経済的な報酬を手に入れる事ができる仕組みです。

これは雇用関係にあり、どれだけ企業体が成功しても給料が上がらない現在の会社組織とは大きく異なります。

これまではブロックチェーンやトークンといったものがなく、契約ベースですすめるしかなかったので、こういった組織形態を取るのは難しかったですが、ブロックチェーンの技術の結果、誰でも透明性高くどの程度コミットしているかを可視化することができるようになりました。

結果、UniswapやCompoundのような設立3年しか立っていないような主体でもそれぞれ時価総額が1.4兆円であったり、4000億円といった金額感がつくに至っています。

実際にUniswapやCompoundのような成功例もあり、企業体よりも参加者(利用者、提供者、出資者)成功に対するダイレクトなインセンティブが顕在することもわかっています。

DAOのほうが全員が報われる仕組みであり、より人間らしい仕組みですから、今後、様々なトークンが発行され、一つの企業体に契約を持って所属する時代から、トークンにより、複数のDAOにつながっていく時代に変わっていくのではないでしょうか。

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補足:なぜ利用者にも配布されるのか?
アメリカのセーフハーバールール的にも、トークンを何らかの約束をした上で販売する以上、分散化していないと証券登録しないといけなくなるため、より分散されたディストリビューションをすることがCryptoのプロジェクトは求められています。

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