αハンター:7月後半の市況分析


1. ロードローラーの前で小銭を拾う

投資の世界では、「ロードローラーの前で小銭を拾う(picking up pennies in front of a steamroller)」という格言を耳にすることがあります。これは特に、OTM(アウト・オブ・ザ・マネー)オプションプレミアムの売りに当てはまる現象です。価格のボラティリティが低い状態が続くと、この戦略はいくらかの利回り(「小銭」)を生み出します。しかし、ボラティリティの予測不可能な急変動、ここで言う「ロードローラー」に直面した場合、累積利回りと元本がすべて吹き飛んでしまうという危険性も孕んでいます。

この概念は、ビットコイン価格が約30,000~35,000ドルで停滞していた5月以降の暗号資産市況と重なる部分があります。30日間のIVが、横ばいのRVを下回り、着実に減少していった様子を見れば、当時の市況がどれほど「退屈」であったかを窺い知ることができるでしょう。

インプライド・ボラティリティvs 実現ボラティリティ

もう一つの理由は、先物市場からの「キャッシュ・アンド・キャリー」的なCEX型の利回りが欠如していたことです。その結果、トレーダーたちはオプション市場から利回りを得ようとする動きを見せました。こうしたCEXプレミアムの売りトレンドは、IVの減少にも如実に表れました。DeFiでも同様の現象が見られ、オプション・先物・債券などを組み合わせた仕組商品を提供する Ribbon Finance は、超過応募となりました。


2. ボラティリティの中を生き抜く

暗号資産特有のボラティリティの高さについては今や周知の事実ではありますが、控えめに言っても異常と言わざるを得ない市況に振り回されました。

I. 値動きは非常に不安定で、オンチェーンの空売りや借り入れに対しては、より慎重な姿勢が求められました。値動きの方向性を見極めることは難しいものの、無期限契約の資金調達が一貫してマイナスを記録していたという点に着目してください。このような状況下では、基本的に先物取引でヘッジを行い、暗号資産のエクスポージャーを抑えることができます。

また、BybitのBTC先物は現物取引を上回る年率5%のプレミアムを生み出しており、BTCエクスポージャーのヘッジとして活用することができるでしょう。

すでにステーブルコイン建てで取引を行っている場合、BybitのDeFiマイニングへの参入も視野に入れることができます。現在11~13%の収益を生みだしているため、雨風をしのぐ「避難場所」としての役割を果たしてくれるはずです。

II. IVでロングした時のリスクリワードレシオ(損益比率)は、非常に優れていました。RVとIV急騰の可能性を考えると、トレーダーは絶好の買い場で取引することができたといえます。

これは、起こり得るボラティリティの急変動をオプション市場が過小評価していたことを示唆しています。つまり、ベガ関連のロング戦略は軌道に乗る可能性が高まっていたと考えることもできます(方向性バイアスやスキュー、その他の重要な要素は除く)。

今後も引き続きロードローラーにご注意を。オプションのショート戦略は、引き続き注視する必要があります。


3. 白熱する議論

市況は強気と弱気の間で混乱し、両者は相対して激しい議論を交えてきました。

強気の議論:

  • ゴールドマンサックスが、暗号資産を取り扱う顧客を対象に実施したアンケート結果によると、機関投資家の状況は明らかに改善された
  • テスラCEOイーロン・マスク氏が、ビットコイン、イーサリアム、ドージへの「Uターン」ともとれる発言を行った
  • 7月25日にビットコインは1.65%、イーサリアムは1.96%急上昇した
  • オンチェーン取引所の流入が2021年7月に最低値を記録し、リバウンドの準備ができている

弱気の議論:

  • 20,000ドル前後の大規模なプットオプション買いの流れがあるが、プットオプションは12月に満期を迎える
  • イエレン財務長官とパウエルFRB議長によるステーブルコイン規制強化の動き
  • オンチェーン取引所への流入量が消極的である

4. デリバティブポジションは強気の可能性

事実上の市況指標である資金調達率は、著しくマイナスになりました。現物 vs 先物の累積ボリュームデルタ(CVD)では、その様子がより顕著に見て取れます。全体的に、現物と先物は同じ流れを辿りました。
無期限のショートカバーが急激に買い圧力を強め、今後も引き続き踏み上げ相場へと転じていく可能性も考えられます。これにはショートオプションのガンマが約35,000ドルレベルまで小さくなったことも影響しています。

これらをまとめると、短期的な方向性のリスクリワードレシオは上向きに歪んだと言えます。


5. DeFiに伸びしろあり

DAOガバナンスモデルに様々な動きが見られました。
まず、DAOガバナンスの欠点として広く認識されている、DEF(DeFi教育基金)のUniswapが登場しました。

その直後、VCプレイブックが大きな注目を集め、現在でも人気急上昇中のSushiSwapが登場しました。

DeFiにとってはまだまだ痛みが続きそうに見えますが、これは一種の「成長痛」と捉えることもできます。長期的に見ると、こうしたDeFiの試みは今後の強気市況へと繋がっていくでしょう。